臨床指標

7)感染管理

7)-1  黄色ブドウ球菌に占めるMRSAの割合

  令和3年度 令和4年度 令和5年度 令和6年度
黄色ブドウ球菌に占めるMRSAの割合 38.6% 34.6% 34.4% 34.1%
解説
 培養検体から検出された黄色ブドウ球菌のうち、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の占める割合を表す数値です。MRSAは抗生物質が効きにくく、院内感染の原因菌として注目されています。院内感染対策をしっかりすればするほど数値が低下傾向になるとともに、他の耐性菌の発生率も下がると言われています。
当院の数値は、※参考値(46%)より低値でしたが、ほぼ横ばい状態が続いています。当院では毎週、感染対策チーム(ICT)によるラウンドを行っており、MRSAやその他耐性菌対策に取り組んでおります。幸いMRSAのアウトブレイクを疑う事例は発生していません。引き続き活動を行って参ります。

算出方法
 MRSAが検出された検体数 / MRSAを含む黄色ブドウ球菌が検出された検体数
※参考値  院内感染対策サーベイランス事業JANIS 公開データより 200床以上の病院のデータから算出

7)-2  血液培養の2セット採取率

  令和3年度 令和4年度 令和5年度 令和6年度
2セット採取率 91.1% 91.6% 93.7% 81.5%
解説
   この指標は、細菌培養検査のための血液採取のうち、複数セット採取した割合を示しています。  重症感染症では、細菌が血液中にいる状態(敗血症)を伴うことが少なくありませんが、単回の血液培養検査では、陽性率が余り高くないことが難点です。
 血液培養を複数セット採取することで、菌の検出率が向上し、起因菌(感染症の原因となる細菌)特定の信頼度が増加します。起因菌の早期の特定は、適正な抗菌薬の選択と治療成績の改善に結びつきます。
 当院では抗菌薬使用前に血液培養を複数セット採取することを推奨しており、その施行率が令和3年度以降は90%を超えています。令和6年度は血液培養で使用する培養ボトルの供給制限があり90%を下回っていますが、制限解除は再び高い施行率を維持しています。
算出方法
 血液培養2セット採取数/血液培養全採取セット数(小児科を除く)

 

7)-3  職員のインフルエンザワクチン予防接種率

  令和3年度 令和4年度 令和5年度 令和6年度
職員数 1,092 1,110 1,116 1,139
接種人数 964 956 917 923
接種率 88.3% 86.1% 82.2% 81.0%
解説
 職員のインフルエンザワクチン予防接種は、職員の罹患を減少させるだけでなく、患者さんへの二次感染を防ぐための重要な取り組みです。罹患した職員が増えると、働く人数も減り、病院機能は低下し、患者さんの安全が脅かされます。今年度は、81.0%と前年度に比べて低下していますが、アレルギー等で接種できない、他施設で接種した職員の数は含まれていません。引き続き、職員のインフルエンザワクチン予防接種率の上昇に向けて取り組んでいきます。

算出方法
 予防接種人数/職員数