臨床指標

1)病院概要

1)-1  三大疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞)入院患者数

       
  令和元年度 令和2年度 令和3年度 令和4年度
がん(全体) 2,427 2,608 2,801 2,640
  胃がん 160 142 158 167
  大腸がん 306 308 326 281
  乳がん 99 61 112 144
  肺がん 281 306 362 260
  肝がん 105 105 127 119
  腎がん 39 42 48 53
  子宮頸がん 53 71 75 56
  子宮体がん 109 135 139 94
  脳卒中 344 371 364 374
急性心筋梗塞 88 74 106 113
 当院で令和4年度に入院治療を行った全がん患者数は2,640人です。
 2019年度の我が国のがん患者数は、多いものから大腸がん、肺がん、胃がん、乳がん、前立腺がんの順になっています。一方国が推奨しているがん検診は胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんです。当院でのがん入院患者数は、全国のがん種別割合に比例しています。
 当院は、2021年4月1日より地域がん診療連携拠点病院として指定を受けました。地域におけるがん診療の中核病院として、質の高いがん診療の提供と情報発信に努めます。
 日本人の疾患別死因は、以前は悪性新生物(がん)、心疾患(心筋梗塞等)、脳血管障害(脳卒中)が3大疾患でした。
 しかし近年では老衰や肺炎で亡くなる患者さんが増加し、脳血管障害で死亡する患者の割合が少なくなってきました。
 国民の健康意識の改善(血圧管理、食生活習慣の変化、喫煙者の減少等)や脳血管障害に対する治療方法の発達に拠ります。
 それでも心疾患や脳血管障害は依然高い有病率であり、救急病院としての当院の役割は大きいと言えます。

1)-2  1日平均外来患者数・入院患者数

  令和元年度 令和2年度 令和3年度 令和4年度
1日平均外来患者数 924.6 864.4 948.4 979.1
1日平均入院患者数 458.7 438.0 438.7 445.6
  • 1日平均外来患者数
  • 1日平均入院患者数
解説
外来;1日当たりの外来患者数です。当院38の診療科を有する総合病院であり、令和4年度は1日平均979人で多くの方が受診しています。
一方当院の地域における役割は、救急患者の受け入れ、急性期患者の治療を行う使命があります。そのため病状の安定した患者の方には、積極的に地域の開業医の先生に、家庭医、かかりつけ医としてご紹介(逆紹介)するように努めています。
日頃の患者お一人お一人の健康管理については、是非皆様にかかりつけ医を作っていただけるようにお願いしています。


算出方法
 1日平均外来患者数 = 外来患者延べ人数 / 診療実日数
 1日平均入院患者数 = 入院患者延べ日数 / 暦日数
 

1)-3  平均在院日数

  令和元年度 令和2年度 令和3年度 令和4年度
平均在院日数 10.5日 10.4日 10.7日 10.5日
解説
 平均して何日間入院しているかを示す数値です。
  患者さんの重症度や疾病によって入院日数に違いがありますので、他病院と単純に比較することはできません。
 当院では、急性期病院として入院治療を要する急性疾患の患者さんをより多く受け入れるために、パス運用、入院早期からの退院調整及び地域医療機関との連携などを通じて平均在院日数の短縮に努めています。


算出方法
 入院患者延べ数 / { (新入院患者数 + 退院患者数) /2 }
 (短期滞在手術基本料3に該当する患者を除く)
 
 

1)-4  病床利用率

  令和元年度 令和2年度 令和3年度 令和4年度
病床利用率 90.8% 86.7% 86.9% 88.2%
解説
 病院の総病床数あたりどれだけ入院されているかを示す数値であり、病床利用率が高いほど多くの患者さんが入院していることになります。急性期病院においては、救急患者さんの受け入れのための病床を常に確保しておく必要があります。
 当院では、92~95%の利用率を目標に適正な病床管理に努めています。令和4年度の病床利用率は88.2%(平日のみでは90.6%)でした。

 
算出方法
 1日平均入院患者数 / 稼働病床数

 

1)-5  病床稼働率(ICU/HCU)

ICU 令和元年度 令和2年度 令和3年度 令和4年度
新入室患者数 530 413 409 435
在室延べ患者数 2,230 1,704 1,818 1,766
稼働率 63.62% 58.36% 62.26% 60.48%
病床数 8 8 8 8
HCU 令和元年度 令和2年度 令和3年度 令和4年度
新入室患者数 1,400 1,407 1,543 1,571
在室延べ患者数 4,974 5,032 5,191 5,435
稼働率 84.94% 86.16% 88.89% 93.07%
病床数 16 16 16 16
  • ICU
  • HCU
解説
 当院のICU(集中治療室)は8床、HCU(高度治療室)は16床です。ICU/HCUでは救急度、重症度の高い治療を必要とする患者や大きな手術後の患者を受け入れます。ICUはHCUより、より重症度の高い患者を受けています。一般病棟では看護師1人が患者7人を担当しますが、ICUでは看護師1人が患者2人、HCUでは看護師1人が患者4人を担当します。ICUの病床稼働率は全国平均60%程度で、欧米では80%という報告があります。稼働率の高い、低いは地域差(大都市、地方)、病院規模(診療科の多寡、医師数、設備等)、救急車の受け入れ状況など種々の要因に左右されます。一概に稼働率の高い、低いで他院と比較することはできませんが、大切なのはICU/HCUで治療が必要な患者を効率的に受け入れて治療ができているかどうかであります。当院でのICU稼働率は全国平均レベルですが、HCUは90%前後の高い稼働率であり、多くの重症患者の受け入れができていて、地域の医療に貢献していると考えています。
 
算出方法
 延べ患者数/(病床数×稼働日数)

1)-6  退院後6週間以内の緊急再入院率

  令和元年度 令和2年度 令和3年度 令和4年度
退院患者数 15,138 14,589 14,984 14,795
緊急再入院患者数 704 755 737 655
緊急再入院率 4.7% 5.2% 4.9% 4.4%

 
解説
 退院した患者さんの中で、退院後42日以内に予定外の再入院になった割合を示しています。新たな病気の出現や慢性疾患の急性増悪の症例も含まれますが、前回の入院における治療が不十分であった可能性なども考えられます。緊急再入院率は入院管理の適切度を評価する指標の一つとなります。なお、同じ疾患で再入院となった症例に限定すると2.4%となり、全国の赤十字病院の平均値2.7%を下回っています。

 

1)-7  クリニカルパス使用率

  令和元年度 令和2年度 令和3年度 令和4年度
退院患者数 15,536 15,713 15,240 15,103
クリニカルパス使用数 8,022 8,171 8,115 8,641
使用率 51.6% 52.0% 53.2% 57.2%
解説
 入院した患者さんのうちクリニカルパスを使用した割合を示しています。
 クリニカルパスとは、標準的な治療を行うための疾患ごとに作成された診療手順であり、治療や処置、検査、看護などの診療内容をスケジュール表にしたものです。疾患ごとにゴールを決めて、十分なケアを効率よく行うための管理方法です。クリニカルパスの使用率は、チーム医療の実践や診療の標準化を評価する指標となります。
 重症患者さんの場合などは、病状が一定ではないためクリニカルパスの使用が難しくなりますが、多くの予定入院患者さんにはクリニカルパスを使用しています。当院のクリニカルパス使用率は年々高くなっており、全国平均(2022年度:45.3%)より高くなっており、入院診療の質が向上していることを示しています。

算出方法
クリニカルパスを使用した患者数 / 退院患者数
※他指標はDPCデータから算出しておりますが、本指標につきましてはDPC症例以外も含む全症例を対象に
  算出しております。そのため、退院患者数が他指標と異なります。

1)-8  退院患者死亡率

  令和元年度 令和2年度 令和3年度 令和4年度
退院数 15,138 14,589 14,984 14,795
死亡数 315 283 339 359
死亡率 2.1% 1.9% 2.3% 2.4%
解説
 退院患者さんのうち死亡退院となった患者さんの率を表しています。当院の数値は2%前後で推移しております。地域医療における病院の役割、特徴及び患者状況に差があるため、単純に他病院と比較することはできません。
 
算出方法
 死亡退院患者数/退院患者数
 

1)-9  在宅復帰率

  令和元年度 令和2年度 令和3年度 令和4年度
在宅復帰率 91.7% 92.6% 93.1% 92.9%
解説
 2014年度からスタートした、国の保険診療で推奨される基準です。入院患者の自宅や介護施設等への退院患者の割合を示し、8割以上が目標です。当院では9割を達成できています。在宅復帰率を高くするために、入院中に患者、患者ご家族と医師、看護師、社会福祉士(ソーシャルワーカー)との話し合いや、地域の介護サービスのご案内、訪問看護師との連携、地域開業医との連携を積極的に行うように努めています。

算出方法
 退院先が自宅および介護施設等の退院患者数/ 生存退院患者数