臨床指標

11)乳腺疾患

11)-1  乳癌(ステージⅠ)の患者に対する乳房温存手術の施行率

  平成29年度 平成30年度 令和元年度 令和2年度
乳癌(ステージⅠ)の退院患者数 22 31 40 22
乳房温存手術が施行された患者数 14 20 25 13
乳房温存手術施行率 63.6% 64.5% 62.5% 59.1%
解説
 ステージⅠ乳癌(腫瘤径2cm以下、リンパ節転移なし)を中心とする腫瘤径が小さな乳癌に対する手術療法として、乳房温存手術(術後放射線照射を併用)は乳房切除術と同等の成績が得られます。しかし、腫瘤が乳頭に近い場合や乳房内で広範囲に広がっている場合には根治性や整容性が低下する可能性があります。また、根治性を保つためには術後放射線照射が必要です。根治性を保ちながら納得のいく整容性が得られる場合に乳房温存手術を行うことが望ましいと考えられます。
 当院のステージⅠ乳癌に対する乳房温存手術施行率(55.6~76.0%)は、平成28年度の全赤十字病院の平均(61.1%)、日本乳癌学会による平成26年症例全国乳がん患者登録調査報告(67.6%)とほぼ同等です。当院ではステージⅠ乳癌のみでなく、断端陰性が確保できて納得のいく整容性が得られる場合は、腫瘍の大きさに関わらず乳房温存手術の適応としています。

算出方法
 乳房温存手術が施行された患者数 / 乳がん(ステージⅠ)の退院患者数

11)-2  乳癌(ステージⅠ)の患者に対するセンチネルリンパ節生検施行率(75歳以下)

  平成29年度 平成30年度 令和元年度 令和2年度
75歳以下で乳癌(ステージⅠ)手術あり患者数 18 25 30 19
センチネルリンパ生検が施行された患者数 18 23 29 13
生検施行率 100% 92.0% 96.7% 68.4%
解説
 本指標は平成27年度から算出されるようになりました。
 センチネルリンパ節生検は不必要な腋窩リンパ節郭清を省略することを主目的としており、センチネルリンパ節生検で転移陽性であれば腋窩郭清が行われ、陰性であれば郭清は省略されます。リンパ節郭清を省略すれば後遺症としての上肢リンパ浮腫の予防が可能となります。そのため、センチネルリンパ節生検が行われるのが一般的です。
 一方、腋窩リンパ節郭清は直接的に生命予後を左右せず、リンパ節転移の有無を明確にして術後補助化学療法の必要性を判断することに意義があるとされています。したがって、術後補助化学療法を行わないと判断される症例にはセンチネルリンパ節生検を行わないことがあります。
 当院のセンチネルリンパ節生検施行率はここ数年の平均で90.2%であり、令和2年度の全赤十字病院の平均値85.7%とほぼ同等です。

算出方法
 センチネルリンパ節生検が施行された患者数 /75歳以下で、乳がん(ステージⅠ)、手術を施行された退院患者数