病院概要

院長挨拶

 本年度もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
 この4年間、全世界がコロナと戦ってきました。日本国内でも国や自治体、医療機関、そして国民一人ひとりがコロナと対峙してきました。当院は感染症指定医療機関ならびに地域医療支援病院としてコロナ診療と一般診療の両立を目標に掲げ、職員一丸となって地域に必要な医療の提供に全力を尽くしてきました。ウイルスの弱毒化、ワクチン接種、治療薬の登場、感染による免疫獲得などが相俟って、ようやくパンデミックは落ち着いてきた状況です。ただ、病院内ではこれからもコロナへの感染対策をインフルエンザ等と同様のレベルで継続していくことになると思われます。
 今回のパンデミックで私たち日本の医療界は様々な経験をし、多くのことを学びました。コロナ患者の入院受け入れ医療機関では、感染急拡大時に人員、病床等を柔軟に変更できる仕組みが必要でした。地域内のそれぞれの医療機関の役割分担や連携体制構築が地域医療の安定化に大きな役割を果たしました。私たちは、これらの知見を元に今後の新興感染症への対応体制を準備しておく必要があります。
 一般市民の方々も、実際の経験や日々の情報に接することにより、感染症対策として手洗いやマスクの有用性、ワクチンの意義、治療薬開発の重要性などを認識できたのではないかと考えます。
 さて、2024年は能登半島大地震で幕が明けました。甚大な被害に驚かされると共に、道路や水道など生活基盤インフラの復旧の重要性を痛感しました。医療については、需要拡大が主体のパンデミックとは異なり、建物・インフラの損壊や職員被災など提供体制崩壊による供給低下が起こっています。私たちは、赤十字の一員として、今回の能登半島での経験に対してもしっかりと振り返り、救護・救援のあり方などを検証する必要があると思っています。
 また、翌1月2日には羽田空港で衝撃的な航空機事故が発生しました。情報伝達、すなわちコミュニケーションの障害が原因のようです。これは医療現場でも発生しうる問題であり、私たちは適切な情報伝達・確認の方法を日頃からトレーニングすると共に、事故につながらないシステムを構築していく必要性を再確認しました。
 本年4月から医師の働き方改革(時間外労働の上限規制)が始まりました。ほとんどの医療機関は3月までにこの規制への対応を済ませており、救急医療の提供体制が大きく崩れることはないと推測しています。しかし、この働き方改革は、医師、特に勤務医の健康を守り、安定した医療提供体制を将来にわたって維持することが目的です。したがって、さらなる労働時間の短縮を進めることが求められています。医療機関はタスクシフト・シェアや効率化により改革を推進していくことになります。加えて適切な救急車利用など地域住民の方々に理解、協力頂くことも重要だと考えています。
 当院は地域から求められる医療をしっかりと提供することに全力を注いで参ります。これからも地域の患者さんや近隣の医療機関とお互いに理解、協力し合いながら真摯な姿勢で医療を行います。
 
 今後とも皆さまのご指導、ご鞭撻を宜しくお願い申し上げます。

 

令和6年4月吉日

福岡赤十字病院
院長 中房祐司