泌尿器科

専門分野・特長

泌尿器科では、腫瘍、尿路結石、感染症、排尿障害などの診療を行っています。
必要に応じて入院での精密検査や治療を行います。手術が必要な場合には、最新の機器を使用して心身への負担の少ない手術を心がけ、早期に退院できるよう努めています。

泌尿器科の疾患や症状について

血尿

肉眼的血尿(目で見てわかる赤い尿)や尿潜血(検査でしかわからない微量の血尿)の方の中には、尿路結石、尿路感染症、腎尿路悪性腫瘍といった疾患が見つかることがあります。私たちは、エコー検査、CT検査、膀胱内視鏡検査などの精密検査を随時行い、受診当日中に診断治療を行えるよう迅速な診療を心がけています。もし入院治療が必要な場合には、患者さんの要望にも沿う形で治療計画を立てています。

排尿障害

男女問わず、頻尿(尿の回数が増える)、尿勢低下(尿の勢いが悪くなる)、残尿感(尿を出した後でも尿が残った感じがする)、尿意切迫感(尿の我慢がきかず漏れそうになる)、切迫性尿失禁(尿の我慢がきかず実際に漏れてしまう)、排尿痛といったさまざまな病状が存在します。こういった症状の原因として、加齢、過活動膀胱、前立腺肥大症、神経因性膀胱などが考えられます。病状を評価して、尿をきちんと出す働きと尿を適切に我慢できる働きを向上させることを目標に治療計画を立てていきます。前立腺肥大症の患者さんのうち、薬の服用では症状がよくならない方には、体への負担の少ない手術が可能なレーザー機器を導入していますので、短期入院での手術が可能です。

尿路感染症

不快な症状を感じやすい膀胱炎や、高熱を伴うことも多い腎盂腎炎、前立腺炎、精巣上体炎などの感染症の治療を行っています。抗生物質の服用で改善しない場合には、排尿障害などの感染症にかかりやすくなる病状が潜んでいる場合もありますので、泌尿器科での詳しい検査が必要な場合があります。

尿路結石

症状のない尿路結石も多数存在しますが、尿管に石が詰まった場合には背部から腹部にかけて相当に強い痛みが出現する場合があります。小さな石では鎮痛剤などで痛みをコントロールして過ごすうちに自然に体外へ排出される場合もあります。一方で、尿路感染を合併する場合や、石のサイズが大きい場合には、石を砕く手術を考慮します。経尿道的尿路結石砕石術や体外衝撃波尿路結石破砕術といった手術があり、患者さんと相談して手術の方法を決定します。

P S A高値と前立腺がん

前立腺がんは男性が罹患する悪性腫瘍のなかでは肺がんや胃がんと並んで多いがんです。一般的には進行は早くない場合が多いのですが、診断がついたときの腫瘍マーカー(PSA)値、悪性度(グリソンスコア)などによっては、早急な治療を要する場合があります。私たちは、前立腺がんの精密検査が必要かをまず外来で評価し、必要な場合には一泊二日の入院で針生検という方法で病理診断を行っています。もし、前立腺がんと診断された場合には、臨床病期(ステージ)と患者さんの年齢や健康状態に応じて根治療法(完治を目指す治療法)や薬物療法(ホルモン治療など)、監視療法(治療をすぐ行わずに厳重に経過観察をしていくこと)を行っています。手術を希望される場合には、精緻な手術が可能な手術支援ロボット(ダヴィンチ)による全摘手術を行います。放射線治療を希望される場合には、重粒子線治療、強度変調放射線治療、3次元原体照射、小線源治療など患者さんの要望に沿った形で治療法を提案し、必要があれば他施設を紹介しています。

腎がん

健診やかかりつけのクリニック等で実施される腹部エコー検査で偶発的に発見される腎がんの患者さんが増えています。比較的小さながんの状態で見つかることが多いため、私たちは腎臓の働きを極力残せるように腎部分切除術を実施しています。多くの場合、手術支援ロボット(ダヴィンチ)による手術が可能となっています。がんが大きい場合でも身体への負担の少ない腹腔鏡手術による腎臓の全摘手術を行うよう心がけています。
進行した状況でみつかったり、手術後に再発した場合には、免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬を用いて治療にあたります。

膀胱がん

膀胱がんの多くは、膀胱を取らずに治療可能な早期の段階で見つかります。早期がんでは尿道から内視鏡機器を挿入して膀胱の中にできた腫瘍を切除することが可能です。腫瘍の切除後に再発する場合もあるため、術後には外来通院しながら再発を予防する薬剤を膀胱に注入する治療も行います。一方で、進行した状況でみつかった膀胱がんの場合は、抗がん剤の点滴治療を行った後に、膀胱を摘出し、尿路変向という手術を行う場合があります。そういった場合でも身体への負担の少ない腹腔鏡手術を行うようにしています。

泌尿器科で行っている主な手術

悪性腫瘍(がん)の手術
・ロボット支援前立腺全摘除術(前立腺がん)
・ロボット支援腎部分切除術(腎がん)
・腹腔鏡下根治的腎摘除術(腎がん)
・腹腔鏡下腎尿管全摘除術(腎盂尿管がん)
・腹腔鏡下膀胱全摘除術(膀胱がん)
・経尿道的膀胱腫瘍切除術(膀胱がん)
・経尿道的腎盂尿管腫瘍焼灼術(腎盂尿管がん)

良性腫瘍の手術
・腹腔鏡下副腎摘出術(副腎良性腫瘍)
・腹腔鏡下腎部分切除術(腎良性腫瘍)
・腹腔鏡下腎摘除術(腎良性腫瘍)

尿路結石の手術
・経尿道的尿路結石砕石術(TUL)
・経皮的尿路結石砕石術(PNL)
・体外衝撃波尿路結石破砕術(ESWL)

前立腺肥大症の手術
・経尿道的前立腺レーザー切除・蒸散術