小児科

学校検尿で「精密検査」といわれたけど…

「何ともないから大丈夫」はとても危険な判断です
学校検尿で見つかる病気の方のほとんどは自覚症状がありません。しかし、中には将来腎臓をだめにしてしまうような病気の初期であったりすることがあります。自己判断はせず、必ず精密検査を受けましょう

  • 毎年4月、新学期になると学校検尿が始まります。よく、説明を読まれて、尿の検査をお受けください。とても大切な検査です。
  • 自覚症状がなくても、学校の指示に従って、きちんと精密検査を受けましょう。
  • 早朝尿をお持ちになるとより正確な判断を速く得ることができます。きれいに洗った容器に早朝尿をとってお持ちください。

早朝尿の取り方

  • 前日、できるだけ入浴して体をよく洗ってください。就寝直前に排尿してください。
  • 当日は、目覚めたらすぐにトイレへゆき、出始めの尿を少し捨て、途中からの尿を容器にとってください。
  • 専用容器がないときは、きれいに洗ったビンなどに尿をとり、お持ちください。

学校検尿の意義と実際

検尿の目的

腎不全になったとき、移植で1個の腎臓をもらうことで、充分な社会復帰が可能となります。このことは、腎機能の低下がおこっても、なかなか自覚症状が現れないということも意味しています。腎機能が低下してきたとき、慢性の腎不全では通常の腎機能の1/3から1/5になってはじめて「倦怠感」などの訴えがでてきます。時には1/10に落ち込んでいても見た目ではわからないくらい元気な場合もあります。この1/10の腎機能とは、生命の維持が困難となる一歩手前、透析導入の時期に当たります。
自覚症状のでにくい腎臓の障害を早く発見することで、将来の透析導入を防いだり、遅らせたりすることができます。このことは、本人のみならず、社会にとっても大きな意義があります。このため、日本においては3歳児健診から社会人の健診まで、生涯検尿として、広く検尿が行われ、成果を上げています。その中でも、もっとも歴史が長く、熱心に取り組まれてきたのが学校検尿といえます。

学校検尿の実際

このように、学校検尿は学校保健法によって定められた児童・生徒の健康を守るための検査の一つです。日本においては自治体ごとに検査の方法が異なっています。尿の蛋白と糖の検査が義務づけられていますが、多くの地域ではこれにくわえて血尿の検査が行われています。さらに、その他の項目も行われている地域があります。

学校検尿の歴史

昭和30年代に、児童生徒の間で潜在性の腎臓病が多数存在していることが明らかとされ、成人になって透析になる人の中には、若年期に発症して、潜在性に腎臓障害が進行してしまっている人が少なくないことが考えられました。このため、昭和48年の学校保健法一部改正により健康診断に尿検査が導入されました。近年糖尿病の増加が問題となり、平成4年からは糖尿の検査も義務化されました。

尿の所見と病気


尿の検査は痛みを伴うこともなく、様々な体の中の情報が得られる有用な検査です。学校検尿の異常としては次のような異常が指摘されることがあります。 
血尿 尿に血液が混ざる状態

「急性腎炎」「慢性腎炎」「結石」「膀胱炎」や「血管の障害」など

多くの場合は目で見ても血尿があるかどうかはわからない

蛋白尿 尿に蛋白が漏れる状態

「腎炎」などが考えられ、将来透析などの必要がある可能性も

問題のない蛋白尿として「体位性(起立性)たんぱく尿」も学童期には多く認められる 

円柱尿 尿に「円柱」が認められる

「糸球体」からもれた蛋白などが「尿細管」につまり、尿に流れ出てきたもの。顕微鏡で見ると柱状に見えることからこう呼ばれる

これがみつかると「腎炎」があるという証拠になる

白血球尿(膿尿) 尿に白血球が混ざった状態

「膀胱炎」や「腎盂腎炎」など尿路の感染症。低学年女児には「外陰炎」が多い

手術を必要とするような疾患があることも

糖尿 尿に糖が漏れる状態

「糖尿病」が疑われる

「腎性糖尿」という腎臓の再吸収機能異常もある

尿に異常があるといわれたら

学校検尿の1次(あるいは2次、3次)で異常といわれたら

学校検尿は1次検査、2次検査のあと、地域によって3次検査まで行われていることもあります。学校から判定結果の通知があるまで、数週間から1ヶ月ほどの時間がかかります。
むくみや肉眼的血尿など何か気がかりな症状があるときには、早くかかりつけ医や学校医を受診してください。
通常は学校の指示があってから精密検査を受けてもらいます。症状がない場合は1次の異常だけであわてて受診される必要はありません。腎臓の病気では所見が続くということも大事な情報です。反復した検査で判断する必要があります。学校からの指示をお待ちください。

学校から精密検査の受診の指示があった場合

精密検査といわれた場合には、できるだけ1週間以内に医療機関で検査をお受けください。
医療機関の指定があることもあります。福岡市立の小中学校などを対象とした学校検尿システムでは、血尿や蛋白尿の所見が強い場合には、腎臓の組織検査ができる病院を受診するよう勧めています。詳しくは学校の養護の先生にお尋ねください。

  • 学校検尿などで「血尿」「蛋白尿」「円柱尿」「白血球尿」を指摘された方
    • 学校検尿などで「血尿」「蛋白尿」「円柱尿」「白血球尿」を指摘された方は「小児科」にて診療します。
    • 受付では「小児科」で受付してください。
  • 学校検尿で「糖尿」を指摘された方
    • 「糖尿」は「糖尿病内科」と「小児科」で協力して診療しています
    • 学校検尿で「糖尿」を指摘された方は、まず、「糖尿病・内分泌内科」で検査をお受けください