はじめに

はじめに

昨今の医療制度改革においては、急速な少子高齢化および長期にわたる経済の低迷、また、医学の進歩を背景とした医療技術の発展、国民の権利意識の高揚などから、医療費の抑制などを基本とした、より質の高い医療の提供が求められているところであります。そのようななか、我々医師の役割は、効率的な医療提供の体制を図ることは勿論のこと、患者の特性に応じた医療、すなわち患者中心の医療を行うことや各々における医療技術の適正な評価及びプライマリ・ケアを中心とした親切且つ適切な医療の提供並びに患者サービスの向上に努めることであり、言い換えれば、独自性及び計画性を持った医療の提供であるということは言うまでもないことです。

では、プライマリ・ケアを中心とした基本的臨床能力とは何でしょうか。


プライマリ・ケアの能力とは、「患者のあらゆる健康問題に対処することができる能力」のことであります。現代においては、病気でありながら実に1/3の人しか病院を訪れていないと言われています。そのようななか、医師は単なる医学的なアプローチだけではなく、全ての資源を有効活用し、継続的に責任を持った診療を行うことであり、また、現場にでれば、さまざまな疾患・疾病に対する知識、患者からの情報収集能力、情報収集後の的確な判断能力、そして、その判断に基づいた技能、また、さまざまな状況を踏まえたうえでの患者さんに対する思いやりの態度が要求されます。それも医師の社会的立場や役割を考えれば、いずれも至極当然の医師像でありますが、卒業後間もない研修医にとっては、これから歩む医師としての使命や責任の重さをあらためて思い知らされることでしょう。

 

今回の研修医制度の見直しが行われた背景には、今後、そのような社会のニーズに対応できる医師の育成が要求されているところであります。
将来、皆さんが如何なる専門分野に進もうとも、今から始まるこの2年間の研修は、医師としての方向付けを行う極めて重要な期間であることを自覚するとともに、今後研修を始めるにあたり、医師を志した“初心”並びに社会人としての“自覚”を忘れずに日々精進していただきたいと思います。