外科(呼吸器外科)

外科

呼吸器外科の診療体制について

肺がん、気胸、縦隔腫瘍など肺を中心に胸部・呼吸器疾患全般の外科治療を小島(呼吸器外科部長、日本外科学会指導医、日本呼吸器外科学会呼吸器外科専門医)が中心となり外科スタッフ全員で協議して行います。

年間症例数(2016年)は手術総数85例でその内訳は原発性肺がん29例、転移性肺がん8例、縦隔腫瘍4例、気胸28例、その他16例でした。

肺がんについて

肺がんは原発性肺がんと転移性肺がんに分けられます。原発性肺がんは気管支や肺胞の細胞ががん化したもので喫煙が大きく関与していますが、最近では非喫煙者でも発症する人が増えています。がんの進行の程度(大きさ、広がり、リンパ節や他臓器への転移の有無など)により下記のように病期(ステージ)が分かれます。

 

ステージⅠ がんが肺の中にとどまり、リンパ節への転移はない。
ステージ Ⅱ

リンパ節転移はないが、肺の中のがんが大きい。

またはがんの近くのリンパ節に転移している。

ステージ Ⅲ がんが肺の周りの組織や重要な臓器に広がり、離れたリンパ節にも転移している。
ステージ Ⅳ

がんが肺の中の別の場所や骨、脳、肝臓、副腎などに転移している(遠隔転移)、

胸水にがん細胞がみられる。

外科手術の対象となるのはステージⅠとⅡの方、およびⅢの方の一部ですが外科スタッフだけではなく呼吸器内科医、放射線科医など関連する全ての科が合同で協議し、正確な術前診断に基づいて手術・術後管理を行っております。
 

イラスト

手術の際には積極的に胸腔鏡を用いた完全鏡視下手術を行っております。従来の胸部を大きく切開する手術に比べ、疼痛が少なく、美容上も優れ、回復も早いため体に優しい治療です。

 

イラスト

切除可能な原発性肺がんに対する当科の治療方針

 

肺機能に問題のない方:

   原則としてリンパ節郭清を含めた肺葉切除
   (→根治を目的とした周囲臓器を含めた拡大切除)

 

肺機能の低下した方、他に合併症があり標準的な肺葉切除が大きな負担となる方:

   根治性を損なわない範囲での部分切除、区域切除
   全身状態によっては放射線治療


患者さん一人一人の耐術能を正確に評価し、切除範囲や方法(胸腔鏡下手術の選択など)をきめ細かく決定しております。

 

原発性肺がんはいまだに難治性で進行の早いがんですが、早期に発見してきちんと治療すれば決して怖い病気ではありません。また進行した肺がんでも抗がん剤や分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害薬といった新しい薬剤が最近は使用できるようになってきました。これらの薬剤を適切に組み合わせることにより、治療成績が向上しています。当院では肺がんの薬物治療を専門とする呼吸器内科医と緊密な連携をとり、個々の病状に応じてQuality of life (生活の質)を保ちながら患者さんご自身も満足する最善の治療方針を常に追求しております。原発性肺がん以外では消化器、泌尿器、婦人科がんなどからの転移性肺がんや縦隔腫瘍あるいは悪性胸膜中皮腫なども治療対象であり、胸膜肺全摘術などの拡大手術にも対応可能な体制を整えております。

気胸などの良性疾患について

気胸とは肺にできた気腫性のう胞(ブラ)が何らかの原因で破綻して肺に穴が開き、吸い込んだ空気が胸の中に漏れ肺が圧迫されてしぼんでしまった状態のことです。やせた体形の若い男性に多いとされています。比較的患者さんの多い良性の疾患ですが肺の圧迫が高度になると、呼吸困難から生命に危険がおよぶ可能性も生じますので緊急の処置が必要になります。

イラスト

気胸などの良性疾患に対してはほぼ全例に胸腔鏡下手術を行い、短期間での退院が可能です。膿胸などの感染症に対しても必要に応じて早急な外科的治療を行っており、良好な治療成績を得ています。また当院の特徴として救急科からの患者さんも多く、胸部外傷に対しても迅速な対応が可能です。

 

 

 

胸部疾患の特徴として高齢でしかも喫煙などにより慢性的な肺合併症を持った患者さんが多いということが挙げられますが、低侵襲手術(体への負担が少ない手術)と術後の全身管理に充分配慮することで、ほとんど合併症なく経過しています。ひどい咳や血痰、胸部の痛み、呼吸苦感などの気になる症状があれば早めにご相談下さい。

 

最後に肺がんにならないためにもぜひ禁煙をお願いします。