外科(消化管外科)

外科

消化管外科

食道がん

2017年4月から、食道癌、胃癌内視鏡手術の全国的指導的立場で活躍している永井を中心に、小島・安井のメンバーで食道がん内視鏡手術を行っています。食道がんに対する治療法としては、内視鏡的切除(EMRやESD)、手術、化学療法、放射線療法があり、病期分類に応じて単独あるいは組み合わせて治療しています。

1)内視鏡的切除術
ガイドラインに準じ、深達度(病変の深さ)と進展度(病変の広がり)また食道がんは超高齢者や重篤な合併症を有する場合が多く、その全身状態に応じて適応を判断し治療しています。

2)手術
食道切除、3領域(頚部、胸部、腹部)リンパ節郭清、胃管再建を基本としています。従来の右開胸開腹での食道切除再建にくわえ、2003年からは早期がんに対する、左側臥位・胸腔鏡下食道切除術を導入しました。2010年からは左半腹臥位・胸腔鏡下食道切除術および腹腔鏡下胃管作製を行い、さらなる手術侵襲の軽減と拡大視効果によるがん根治性の向上に努めています。術後合併症軽減のため、術式の改良のみならず周術期管理として、術前からの理学療法士による呼吸リハビリ、術後早期からの言語聴覚士による嚥下リハビリを行い、最近6年間術後在院死を認めていません。

3)化学療法・放射線療法
通過障害を伴うような進行がんに対してはガイドラインに準じて術前化学療法を、また局所進行食道がんやリンパ節転移を伴うような場合は、放射線治療医管理のもと術前化学放射線治療を行い、Down Stage の後手術を行っています。2013年は4例術前化学放射線療法の後、左半腹臥位・胸腔鏡下食道切除術を行いました。

4)再建術
食道がんは、頭頚部領域がん(咽頭がん)などを合併する場合が多く、形成外科医と合同で血行再建を伴う遊離空腸再建、結腸再建なども行っています。

胃がん

永井(副院長 兼 消化器外科部長・低侵襲手術センター長・日本食道学会食道外科専門医・日本消化器外科学会指導医、日本内視鏡外科学会技術認定医)・安井(日本消化器外科学会指導医・日本内視鏡外科学会技術認定医)を中心に、消化器外科医すべてが胃がん手術を行っています。胃がんに対する治療法としては、内視鏡的切除(EMRやESD)、手術、術前術後補助化学療法があり、リンパ節転移の可能性が確実にない早期がん以外はすべて手術の適応となります。

手術は病変部位に応じた胃切除と領域リンパ節郭清、再建が基本です。

日本内視鏡外科学会2016の報告によると全国的に胃がんに腹腔鏡手術を適応としているのは約45.5%で、そのうち進行がんに腹腔鏡(補助)下幽門側胃切除術を適応としている施設は50.1%で、さらに腹腔鏡(補助)下胃全摘術を適応としているのは41.7%でした。
 

当院では従来の開腹手術にくわえ、2003年からは早期がんに対する腹腔鏡下幽門側胃切除術を導入しました。2008年からは胃上部早期がんに対する 腹腔鏡下胃全摘術を、2009年からは2群リンパ節郭清が必要な進行がんにも適応を拡大しています。また、2015年からは、胃上部の早期がん(深達度M、SM)、(切除後の残胃が約1/2となるような病変)に対し腹腔鏡下噴門側胃切除を導入しました。年間約60例の胃がん手術を行っており、2016年は胃がん症例の92%に腹腔鏡下手術(幽門側胃切除術、胃全摘術、噴門側胃切除術)を行いました。

現在の腹腔鏡下胃切除は5mmから10mmの小さな傷5カ所でおこなっており、カメラ(腹腔鏡)や手術器具(鉗子)をおなかの中に入れて、外科医は腹腔鏡で映し出された腹腔内の様子をテレビ画面で観察しながら手術を行います。


当院は2012年新病院がオープンし、手術室も新しくなりました。複数のハイビジョンモニターが設置され、外科医のみならず、手術室内のスタッフそれぞれがそれぞれの位置からモニターを通して術野を共有できるようになり、最良の手術を提供できる体制がととのっています。
 

大腸がん

当科の診療体制について

当科では外科手術の適応となった大腸癌の患者さんについて、中房(副院長、消化器外科部長、日本大腸肛門病学会指導医日本消化器外科学会指導医)と井上(消化器外科副部長、日本消化器外科学会指導医日本内視鏡外科学会技術認定医)を中心に消化器外科全体で治療方針について協議し治療を行っています。大腸癌の治療法には消化器内科で行っている内視鏡的切除(EMR,ESDと呼ばれます)、外科で行っている手術、化学療法があり、外科では手術と化学療法を行っています。手術は病変の部位に応じた大腸の切除と周囲のリンパ節の切除、再建を行います。

 

腹腔鏡手術について

日本内視鏡外科学会2014年のアンケート報告によると回答のあった全国の主要施設では大腸癌手術の57.2%を腹腔鏡で行っています。当院では2002年から早期大腸癌に対して腹腔鏡補助下手術を導入し、2009年より3群リンパ節郭清が必要な進行癌にも適応を拡大しました。2016年は全体で133例の大腸がんの切除手術を行い、うち112例(84%)を腹腔鏡補助下に行いました。難易度の高いとされる直腸癌に対する腹腔鏡補助下手術にも取り組んでおり、学会技術認定を取得することにより外部機関の技術評価も受けつつ、安全性とがんの根治性が高く患者様の負担の少ない手術を心がけて治療を行っています。
 

 腹腔鏡補助下大腸切除術は5mmと10mmの小さな切開創5カ所から、カメラ(腹腔鏡)と手術器具(鉗子)をおなかの中にいれて、術者は腹腔鏡で映し出された様子を観察しながら手術を行います。通常の開腹手術と比べて組織の状態を拡大して詳細に観察できるため、緻密な手術となることが最大の利点です。また、通常の開腹手術では見えにくい骨盤の深い位置を十分に観察できることも利点です。一方で、技術的難易度があがり、時間を要すること、大きな腫瘍に対しては適応しにくいなどの欠点があるため、状況に応じて開腹手術を行っています。

進行再発大腸癌について
 当科では発見された時点で他の臓器に転移を伴っている大腸癌や術後に再発してしまった大腸癌に対しても、患者さんのご年齢、体の状態、病状に適した治療を行っています。大腸癌に対する標準治療とされる化学療法、分子標的治療薬を外来化学療法室との連携のもと、医師看護師薬剤師栄養士社会福祉士(医療ソーシャルワーカー)などの多職種のチームがご家族とともに患者さんを支えて治療を行っています。また、進行癌に対する術前治療など大学病院や全国の病院グループとの連携のもと先進的医療を取り入れ、治療困難な例の治療成績の改善に取り組んでいます。

 

直腸癌の手術(肛門温存と人工肛門)について

直腸がんで病変が肛門に非常に近い場合、肛門を残すことができるか(肛門温存)が問題となります。肛門の温存には「肛門からの排便機能を温存する」一方で「癌の根治性」も確保しなければいけません。したがって、それぞれの病変の肛門からの距離、病変の大きさや深さ、リンパ節転移の程度、もともとの肛門機能、年齢などを十分に考慮し、肛門温存の可否を評価します。肛門を温存する場合には、超低位前方切除術、括約筋間切除、経肛門的内視鏡切除(TEM)という術式を採用しています。超低位前方切除術、括約筋間切除は骨盤の深いところまでの直腸の剥離が必要な手技ですが、当科ではそのほとんどを腹腔鏡補助下手術で行い、患者様の負担の軽減に努めています。
 

一方で、病変が肛門に至っている場合はがんの進行度、体の状態から直腸をつなぐことが適切でないと判断した場合には人工肛門を造設する場合があります。人工肛門を造るべきか否かについてはそれぞれの状態の詳細をもとに慎重に検討し、患者さんと十分に協議して決定しています。人工肛門の造設の必要がある場合には入院時のオリエンテーションから術後の排泄物の処理、ストーマ装具の取り扱いと管理まで一貫してストーマケアチームが指導いたします。退院後もストーマ外来で皮膚排泄ケア専門看護師が定期的に診察し、対応、指導を行っています。これまで多くの患者様が人工肛門を造られ、日常生活に戻って行かれました。不安なことや分からないことがあったら気軽にお問い合わせください。