アレルギー性紫斑病

アレルギー性紫斑病とは

  • ヘノッホ・シェーンライン(Henoch-Schönlein)紫斑病やアナフィラクトイド紫斑病などともよばれ、血管性紫斑病のひとつです。
  • 出血斑(紫斑)、むくみ(浮腫)、腹痛、関節痛などが主な症状です。
  • 3~10歳に最も多く、男児がやや多い傾向があります。
  • 小児では最も頻度の高い血管炎で、年間10万人あたり10~20人の発症率とされています。
  • 秋から初夏に多く、夏は少なくなります。
  • およそ50%の症例で風邪などの先行感染があり、発症までは1~2週のことが多いようです。
  • およそ半数に腎臓病が認められ、紫斑病性腎炎と呼ばれます。
  • 長期的には良くなることが多いのですが、1~2%の方には腎不全が起こるとされています。

紫斑病1紫斑病2

アレルギー性紫斑病の原因

現在のところはっきりした原因は不明ですが、体を守る免疫システムの一つのIgAという種類の抗体と関連のある疾患と考えられています。先行感染としては扁桃炎などの上気道炎が中心ですが、副鼻腔炎(蓄膿)を起こしていることもしばしばです。先行感染の病原体はA群溶連菌、ブドウ球菌、ウイルス(水痘、肝炎、麻疹、風疹など)、マイコプラズマなどが知られています。

アレルギー性紫斑病の症状

突然発症し、数ヶ月の間、症状の出没を繰り返すことがありますが、ほとんどの場合は次第に安定してきます。

a) 出血斑
わずかにもり上がった出血斑が足関節周囲を中心に両側性対称性に出現します。場合により上肢、躯幹、顔面などにも広がります。靴下や下着などによる圧迫部位に強くでることがあります。軽い痒みを伴った蕁麻疹様の発疹ではじまり、次第に紫色の出血斑になります。湿疹などとの区別は、赤い部分を指で圧迫し、色が消えれば湿疹などの「発赤」、消えなければ「出血斑」と判断できます。
b) 限局性浮腫
足関節周囲および腓腹部の腫脹と疼痛が多いのですが、頭部、顔面、背部などにも、有痛性の大きな浮腫が出現します。腫れに伴う発赤はありません。
c) 関節症状
関節痛、関節炎はおよそ2/3の患者さんに出現します。通常両側性で、足関節、手関節が中心となります。股、肩、指趾関節は通常痛みません。痛みで歩行が困難となることも少なくありません。
d) 腹部症状
およそ半数の患者さんに認めます。反復する強い痛みで、ときに嘔吐を伴います。急性腹症として手術されるほど激しい腹痛となることがあります。血便ないし便潜血を認めることがあります。陰嚢・精巣の腫脹と疼痛、出血も認められることがあります。
e) 腎炎
症例の約半数に尿異常を認めます。紫斑病発症から3か月以内に出現することが多いのですが、1年程度経過して出現することもあります。定期的な検尿を続けることが重要です。この疾患の長期的問題の多くは腎臓病です。

EULAR/PRINTO/PRES診断基準では、隆起性の紫斑(palpable purpura)に以下のいずれかを伴うとしています。①全般性の腹痛、②生検でIgAを主体とした沈着、③急性関節炎/関節痛、④腎合併症(血尿または蛋白尿)。皮膚所見があれば診断は比較的容易ですが、出血斑が出現しない場合には診断が難しくなります。高熱は通常みとめません。
鑑別診断(後天性の出血斑を認める疾患)

診断 特徴的症状 検査所見
 血小板減少性紫斑病 全身の出血斑、鼻出血など
血小板数低下、抗血小板抗体陽性
全身性エリテマトーデス 発熱、蝶形紅斑、Raynaud現象など 自己抗体陽性、低補体血症など
acute hemorrhagic edema of infancy

2歳未満に多い

発熱、浮腫および顔面、耳介などの出血斑

FDP高値など
一過性抗カルジオリピン陽性例(後天性低プロトロンビン・ループスアンチコアグラント症候群)
感染症のあと等
鼻出血など
PT,APTT延長、凝固第II因子低下、低補体血症、抗カルジオリピン抗体陽性、ループスアンチコアグラント陽性など
結節性紅斑 発熱、有痛性の皮疹 赤血球沈降速度高値
Ulticarial Vasculitis 発熱、長引く蕁麻疹の部位に出血斑 低補体血症、炎症反応上昇など
滴状類乾癬 赤く盛り上がった斑点や、白くカサカサしたカサブタのようなものが、全身に多発

アレルギー性紫斑病の治療

  • 急性期は安静を保ち、症状に応じ治療します。(出血斑は動きが激しくなると増えますが、出血斑のみであれば厳しい安静は必要ありません)
  • 腹痛が強い時には入院加療が必要となる場合が多くなります。
  • 先行感染に対しては原因に対して有効な薬剤を使用します。
  • 薬物療法としては、関節痛には、アセトアミノフェンなどの投与や経皮鎮痛消炎剤が有効ですが、強い関節痛・腹痛がある場合にはステロイドをしばしば使用します。
  • 腹痛が強い場合には、点滴とともに、ステロイドの注射などを行うことがあります。
  • 長期に腹痛や関節痛が持続する症例で、XIII因子が低下している場合に同因子の補充を考慮します。
  • 腸管の潰瘍が確認された場合には、抗潰瘍薬を加えることがあります。
  • 重症例では免疫抑制剤や抗癌剤が有効との報告もあります。
  • 紫斑病性腎炎が出現し、蛋白尿が悪化する場合には小児腎臓医に相談されると良いと思います。
  • 紫斑病性腎炎が長期に続き特定の薬による治療が必要な場合には、「小児慢性特定疾患」として医療費の補助を受けることができます。主治医か保健所へお尋ねください。

アレルギー性紫斑病の予後

数ヶ月間は再燃しますが、多くは予後良好です。まれに数年の間隔をおいて再燃することがあります。腎炎は数年のうちに約8割で尿所見が消失しますが、腎障害の強かった場合には、一度改善しても後から腎機能が低下したり、女性では妊娠中に腎機能が悪化する場合があることも指摘されています。

小児科の先生はよく知っている病気ですが、内科や外科の先生方はあまりみられたことがない病気です。ご不明の点は、かかりつけの小児科の先生にご相談されると良いと思います。

2008-2-28開設  2014-08-07 改訂

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