院長挨拶

院長挨拶

福岡赤十字病院は、赤十字の精神を大切に、地域の中核的な病院として、
皆様に信頼されるより良い病院を目指します。

 平成28年度は恒例の2年に一度の診療報酬改定実施から始まりました。改定の大命題は医療費抑制と巷間言われますが、私は「医療の質の向上をもたらすための効率的な医療費の配分」と理解しています。費用の抑制は質の劣化のみを招きます。社会が少子高齢化へと変貌する中、医療・福祉に要するコストの増大はあっても減少はありません。医療費の「抑制」という無駄使いを連想させるような乱暴な言葉使いは止め、「効率的な配分」へと改めるべきと考えています。

 さて年度の初め、診療報酬改定対策に翻弄される中、突然「平成28年熊本地震」が発生いたしました。図らずも震源地は、全国92の赤十字病院のうち屈指の災害拠点病院である熊本赤十字病院から3kmしか離れていない地域でした。被災地の真中ではありましたが、同院には発災直後から数多くの職員が病院に集結、被災者の受け入れに奔走し、数日間はまさに24時間、戦場の様相であったと聞きました。同時に当院含め九州ブロックの赤十字病院及び全国の赤十字病院から多数の救護班は速やかに日本赤十字社熊本県支部に集結、そこを拠点に病院支援、地域の巡回診療、保健予防活動に従事しました。度重なる大災害のため多くの赤十字病院では各部門のスタッフの協力で救護班が速やかに編成されスムーズに出動できるシステムが出来上がっています。送り出す方は比較的単純な作業ですが、今回被災地における急性期病院の奮闘ぶりを目の当たりにし、もし「福岡大震災」であればと思うと、身の引き締まる思いがしました。

 昨年度より、地域医療構想の策定や地域包括ケアシステムの構築について真剣な議論が積み重ねられています。現在の医療提供体制をより効率的にし、来たるべき超高齢化社会にふさわしい体制を作ろうというものです。福岡・糸島地域はこれから20年間も人口が少しずつ増え続けるとともに、同時に高齢者が急激に増加するが若者もそんなに減らないという全国でも数少ない特殊な地域です。従って現在の病床総数は近い将来不足するとともに出来るだけ多くの高齢者を在宅で管理するという必要性が生じてきます。地域医療構想では病床総数の維持または増加とその中での病床機能の適切な配分について策定しなければなりません。地域包括ケアでは、高齢者が施設や自宅で安心して暮らせるように地域社会あげての組織づくりをするという壮大な計画です。このような将来に向けての医療・福祉の国家的規模の大改革のうねりの中で当院の果たす役割は決して小さくありません。地域の基幹病院として急性期医療に専念するという旗色を鮮明にすることで、これまで以上に地域に貢献して行きたいとと考えています。

 「人間を救うのは、人間だ。」は日本赤十字社の現在のキャッチ・フレーズです。人の命を守る赤十字の医療人としての誇りと使命感も高らかに、赤十字の人道、公平、中立、奉仕、独立、単一、世界性という基本7原則に沿って、今後も出来る限りの誠実な医療を社会に提供したいと考えています。

 

平成28年7月吉日